フォーカルセラピー
Focal therapy
前立腺がんのフォーカルセラピーは、がん組織だけを狙って治療し、正常な組織をできるだけ温存することで、
合併症のリスクを減らし、生活の質(QOL)を維持することを目指す局所療法です。
フォーカルセラピー
新しい前立腺癌治療『フォーカルセラピーとは』
・前立腺癌を含む前立腺全てを摘出するのではなく、前立腺内に発生している癌病巣部位付近だけを治療する方法です。
・前立腺を摘出しないことにより、全摘手術に認められる尿失禁や勃起障害を大幅に回避することが可能です。
・前立腺癌の制御、治療と生活の質や機能温存を両立できる新しい治療法です。
当院ではマイクロ波凝固による経皮的前立腺癌焼灼術を行っており、患者様の状態によって先進医療、もしくは自費治療で治療を提供しております。
《自費診療》総医療費100万円(税込)
・入院手術費用(基本:2泊3日)
・食事代
・アメニティ
タオル2種、・病衣・歯ブラシ(歯磨き粉付)
入れ歯洗浄剤・入れ歯ケース
口腔ケアブラシ・コップ・箸・スプーン・食事用エプロン
ボックスティッシュ・スリッパ・イヤホン
ボディソープ・リンスインシャンプー等
・術前検査(採血・X線・心電図)
『フォーカルセラピー』マイクロ波凝固による経皮的前立腺癌焼灼術の特徴
フォーカルセラピーは前立腺内の必要な部位だけを治療する方法です。
病巣を様々な方法で治療しますが、当院では「マイクロ波」による凝固、焼灼により前立腺癌病巣とその周囲を治療します。
マイクロターゼと呼ばれるマイクロ波発生機器に深部凝固用電極を接続し、会陰から電極を穿刺し前立腺癌病巣にマイクロ波を通電させます。
マイクロ波は電子レンジと同じ波長の電磁波であり、電極の接する先端20mm、半径約10mm周囲を約100度の高温で凝固、焼灼します。
それにより癌病巣もしくはその周囲のみを正確に治療することができます。

※アルフレッサファーマ株式会社HPより引用
『フォーカルセラピー』マイクロ波凝固による経皮的前立腺癌焼灼術が受けられる方
MRI画像検査で確認できる単発の前立腺癌が良い適応になります。(特に確定診断としてMRI /US画像融合前立腺生検を受けて診断された方)
また、前立腺癌の悪性度が中程度(グリソンスコア7点)の方は治療効果を得られやすいと言われています。
さらに、悪性度が高く(グリソンスコア8点)ても癌体積が小さいもの(径10mm未満、体積0.5cc未満)であれば治療効果が見込めます。
また、低悪性度(グリソンスコア6点以下)であっても癌体積が多く(径10mm以上、体積0.5cc以上) 臨床的に意義のある癌と考えられる場合は治療の対象となります。
治療の範囲
全身麻酔下もしくは腰椎麻酔下で行います。
病変に対して5mm程度のマージンをつけて焼灼を行います( 30W で1回60秒間の焼灼)。
勃起機能保持に重要とされる前立腺外側を通過する神経血管束は、焼灼範囲外です。従って焼灼の影響を受けず、勃起機能の温存につながります。
超音波ドップラーで病変部位の血流が消失していることを確認し終了します。
・尿道留置カテーテルを術後1−2日まで留置
・抗生剤(ニューキノロン等)内服
治療効果の確認は術後のMRI検査やPSA値の変化、場合によっては前立腺生検を行い確認します。

治療対象外となるがんの位置
以下のような位置にがんがある場合はフォーカルセラピーを施すことはできません。

副作用・リスクについて
マイクロ波凝固治療による副作用、合併症は麻酔や手術体位に関連する一般的なもの以外に、焼灼する前立腺周囲の熱損傷やそれに伴う臓器損傷、
軽度の出血、血尿、尿道の浮腫による一時的な排尿障害や尿路感染症などが想定されます。
治療前には同意・説明文書で詳しく内容をお伝えし、治療後も定期通院をお願いし経過を拝見いたします。
入院期間等について
・手術時間は1時間程度です。
・入院期間は、2泊3日です。手術翌日におしっこの管を抜いて状態をみて退院します。
フォーカルセラピーの先進医療認定について
マイクロウェイブによる前立腺癌フォーカルセラピーは、厚生労働省より先進医療の認定を受けました。
(先進医療を実施している医療機関の一覧 令和6年12月1日現在 第2項先進医療技術【先進医療A】NO51)
保険診療となる前の有効性の期待ができる新規治療に対してのみ認可されるものであり、京都府立医科大学・浮村 理教授を中心とした全国8施設で共同研究を行っています。
先進医療の適格基準は明確に定められており、慎重に吟味し適否を判断します。先進医療に適合されない時は、従来どおりの自由診療で治療を受けることができます。
フォーカルセラピーが選択される病期