ロボット手術ダビンチ
Robot surgery da vinci
当院では手術療法として、国内2例目になるロボット手術ダビンチを導入し、現在まで多数の症例を行い、豊富な経験を有しています。
ダビンチの本場米国では前立腺手術の9割に利用されています。
ロボット手術ダビンチ
ロボット手術ダビンチ
ダビンチとは?
内視鏡下手術用ロポット(人体を観察することを目的とする内視観を利用した手術支援ロボット)のうち、現在代表的な存在としてあげられる"ダビンチ"は、長久保病院でも導入された医療用ロボット機器になります。
その開発元のIntuitive Surgica社は米国NASDAQに上場する株式会社で、当初の目的は戦場での手術を遠隔で行なうためのシステムとして開発された、という経緯があるようです。
ロボット手術ダビンチでの手術
ダビンチの特長
そのダビンチの特徴から、一般的な内視鏡を用いた手術を比較をしてみます。
普通の内視鏡の場合は(関節がないため等)可動域が制限され、その画像も遠近感のない平面画像が一般的のようですが、一方ダビンチでは、複数のアーム・鉗子で操作を行いますので(左右のアームを365度回転させたりで)縫合を結ぶような複雑で細かな仕事も行うことができ、またその画像についても(平面ではなくて)3Dで立体的に見ることができるようになります。
→(参考)遠隔地からダビンチで2cmの折り鶴を作成する動画
ダビンチが向いているのは?
前立腺は男性のみに存在する生殖器官で、膀胱の真下にあり尿道を取り囲むかたちで存在し、クルミほどの大きさの器官なのですが、膀脱のすぐ下に位置し、周囲には静脈が編み目のように走っており、また近くには尿道活約筋があって両側には(前立腺に貼り付くように)勃起をつかさどる神経が走っている、etc....というように、一般的には手術がかなりむずかしい部位ということが言えるようです。
そういった特徴をもつ前立線への施術について(前立腺癌の場合のような)"前立腺全摘術"では出血を抑えつつ神経(神経血管束)を温存することはさらに難しいとも言えるかもしれませんが、そのような場面においてこそ、ロボット手術は適しているのではないでしょうか?。
実際、ダビンチの本場米国では、現在、前立膜全摘手術の9割でダビンチが利用されているといわれています。
ロボット手術ダビンチの特長
ダビンチのメリット
ダビンチによる手術で患者さんが受けられるメリットについて、その開発元の文章を以下に紹介しておきます。
・より少ない痛み
・より少ない出血
・より少ない入院日数
・より少ない術後の合併症の確率
・より再発しにくい癌手術の術後の状況
・より早く社会復帰可能に
(Intuitive Surgical, Inc.のWEBサイトから抜粋)
ロボット前立腺全摘術
現在アメリカでは前立腺がんの手術の90%がロボットによって行われています。今までの手術は開腹で行う従来の前立腺全摘術、また新しい手術方法である腹腔鏡下前立腺全摘術として行われていました。開腹の手術はお腹を大きく切開することが必要であり回復が遅くなったり、また人の目で見るため、男性の骨盤の奥にある前立腺では細かいところが見ずらいなどの欠点がありました。
腹腔鏡下の手術は、お腹を大きく切開する必要はないのですが、2次元のテレビモニター下の手術であり、また手の代わりとなる鉗子の可動範囲が制限されるなど欠点がありました。
これらの欠点を解消したのがロボット手術です。この手術方法はあくまで人が操作するのですが、3Dの視野下で局所を拡大し細かくみることが可能です。
ですから人の目で見ているようであり、さらに拡大して見ながら手術ができます。
使用する鉗子は従来の腹腔鏡下手術のに比べ格段に可動範囲に優れ、また人の手の数倍の細かさで動かすことができるため、前立腺のように狭い場所での手術に適しています。
このようにロボット手術は従来の手術に比べ安全性が高く術後の社会復帰が早いなどの長所を持った手術方法です。
当院では、いち早くダビンチを導入し(日本では2施設目)、2009年9月より前立腺がんに対する手術を開始しました。そのため、豊富な治療実績を有しております。
アームは全部で4本あり、それぞれのアームにカメラ、鉗子をつけて手術します。鉗子は、術者が遠隔で操作をして動かします。
ロボットによるアーム動作は"手ぶれ"が出ない形ですので、より細かやかな鉗子操作が可能となります。なお、2012年4月からは"保険適応"になり、患者さんの経済的負担も軽くなりました。
鉗子の先端
実際の鉗子の先端。この画像を3Dモニターでみながら手術します。
鉗子の操作
コンソール内で鉗子を操作しているところです。
この機械によって実際の手より数倍の動きが可能です。
手術の様子
奥のベットに患者様は寝ていただき手術を受けていただきます。
その手前のコンソールという操作装置を術者が装置内にある3D画面を見ながら操作をします。術者の手の動きに合わせて、ロボットについた鉗子が動く遠隔操作によって手術を行います。
ロボット膀胱全摘術
2019年1月より保険適応となりました...
ロボット膀胱全摘術のプロクター(指導医)も在籍。
・2019年1月より保険適応となりました。施設認定が必要なのですが、当院はいち早く認定を受けています。
桑原勝孝院長はロボット膀胱全摘術のプロクター(指導医)にも認定されました。
・従来の開創膀胱全摘より、出血量の減少、術後の回復が早くなるなど有用な術式です。
・尿路変更術は回腸導管術(集尿袋が必要な方法)または新膀胱術(小腸を利用して、手術前と同じように尿道から自分で排尿する方法)を症例に応じて選択します。
当院の実績から
最後に、当院のダビンチに関する実績(手術件数)を、グラフで簡単にわかりやすく示してみます("前立腺全摘術"の中で、ダビンチによる施術の場合と、従来よりの開創の場合と、その推移を時系列で)